
最終更新日:2019.08.16
大相撲界だけでなく、歌舞伎などに用いる
また、床山は「床○○」というように、「床」の字をつけた名前を名乗ります。
床山の階級(地位)

床山の階級は、特等を最上位にして以下一等から五等まで6段階に分けられています。
原則的には、勤続年数に加えて成績優秀であれば昇進しますが、それぞれの地位で特に成績優秀者であれば、勤続期間を満たさなくても特進する場合があります。
ちなみに特等という階級は1994年(平成6年)6月より追加された地位になります。
特等
勤続45年以上で年齢60歳以上の成績優秀な者
または勤続30年以上45年未満の者で特に成績優秀な者
一等
勤続30年以上で成績優秀な者
または勤続20年以上30年未満の者で特に成績優秀な者
二等
勤続20年以上30年未満で成績優秀な者
または勤続10年以上20年未満の者で特に成績優秀な者
三等
勤続10年以上20年未満で成績優秀な者
または勤続5年以上10年未満の者で特に成績優秀な者
四等
勤続5年以上10年未満で成績優秀な者
五等
勤続5年未満の者
床山になるには

床山になるには、義務教育を修了した満19歳までの男子で、床山に適格と認められる者とされています。
現在床山の定員は50名以内と定められていますが、1997年(平成9年)9月の理事会で、力士数12名以上で床山が配置されていない部屋から申請があった場合には、定員を超えて採用できる臨時措置がつけ加えられました。
そして床山の停年は1990年(平成2年)より満65歳となります。
応募の手続きとして、まず各相撲部屋に入門しなければいけません。
その後、履歴書、保護者の承諾書、住民票、戸籍謄(抄)本と、師匠名による「採用願」を協会に提出します。
(なお、床山は一般の理・美容師とは違うので美容師免許などは必要ありません)
そして相撲協会から床山として採用されると、各相撲部屋に配属されます。
採用されると床山がいない部屋に優先的に配置されますが、最初の3年間を見習いとして、協会が指定する経験豊富な先輩床山のいる別の部屋に通って研修があります。
床山の給料

相撲協会が採用するので所属は協会員となり、給料は本棒と手当からなる月給制で、協会より支払われることになります。
本俸は決まった基準により、各人の能力・成績ならびに勤務状況に応じて理事長が決定します。
また同じく手当も各人の能力・成績・勤務状況ならびに物価・社会状勢などに応じて理事長が決定し、現在は最低でも12万6000円が加えられるようです。
昇給は年1回になります。
特等
本棒:36万円~40万円まで
手当込の月給:48万6000円~
おおよその年収:583万2000円~
一等
本棒:25万円~36万円未満
手当込の月給:37万6000円~
おおよその年収:451万2000円~
二等
本棒:14万円~25万円未満
手当込の月給:26万6000円~
おおよその年収:319万2000円~
三等
本棒:7万円~14万円未満
手当込の月給:19万6000円~
おおよその年収:235万2000円~
四等
本棒:2万9000円~7万円未満
手当込の月給:15万5000円~
おおよその年収:186万円~
五等
本棒:2万円~2万9000円未満
手当込の月給:14万6000円~
おおよその年収:175万2000円~
見習い期間(3年)
本棒:1万4000円~2万円未満
手当込の月給:14万円~
おおよその年収:168万円~
*財団法人日本相撲協会寄附行為施行細則第八十一条より
床山の道具
床山が携帯する道具箱には、普通、荒ぐし、前かき、すきぐし、そろえぐし、にぎりばさみ、中剃りに使うかみそり、やすり、耳かき、髷棒(まげぼう)、先縛り、元結(もとゆい)、すき油、水おけ、癖直しに使うガーゼなどが入っています。

すき油をつけた後、もつれたり固まったりしている髪の毛をこれでといて整えます。

すき油とは力士の髪につける油のことで、ツヤ出し、整髪のために使います
「すき油」が正式な呼び方ですが、「びん付け油」と呼ばれることが多くなっています。
すき油の原料はナタネ油と九州産の木ロウ(ハゼの実から採ったロウ。ツヤ出しに使う)で、さらに4~5種類の香料が加えられ、あの独特なよい香りがします。
すき油は江戸時代から使われており、当時のものは梅の花の香りがしたそうです。

すきぐしとは歯の粗いくしで、髪についた汚れやフケを取り除くために使われます。
昔は竹で作られていたが、現在はツゲ材で作られています。

そろえぐしとは大銀杏を結い、最後の仕上げをするときに使うくしです。
そろえぐしはよく使われているくしで、髷を結うときはもちろん、力士の起床直後や洗髪後など、とりあえず髪を整える場合などにも使います。

前かきとは大銀杏のはけ先(マゲの先)がのる部分の髪を整えるために使うくしです。

髷棒とは大銀杏を結うときに使う、鋼でできた棒状の道具のことです。
大銀杏の両耳の上や、後ろの部分を髷棒で張り出すように整えます。
市販されていないので、畳針を手に入れ、床山が自分で加工して使っているそうです。

材料は紙幣を作るのと同じ(!)丈夫な良質の和紙になります。
その和紙を細長く切り、木綿で巻いて、海藻と米で作られたのりを塗布し、乾燥させて元結は作られており、水引のメーカーが製造しているそうです。
ちなみに元結で髪を縛ることを「元結をかける」と表現します。